はじめに
子どもが「考えることが好きになる」ためには、日々の声かけや接し方がとても重要な役割を果たします。
「間違えたらどうしよう」「自分の考えって変かもしれない」と不安に思わせるのではなく、「自分で考えてみるって面白い！」「発想するのって楽しい！」と自然に感じられるような雰囲気や関わり方を大人が意識してつくっていくことが大切です。
こうした環境が整っていると、子どもは失敗を恐れずに挑戦し、自分なりの考えをどんどん表現しながら学んでいくようになります。
その中で育まれる「考える力」や「試行錯誤する姿勢」は、学校の勉強だけでなく、人生全体を通して役に立つ大きな力となっていくのです。
今回は、そんな前向きな思考習慣を支えるために効果的な「声かけフレーズ」を５つ、厳選してご紹介します。
家庭や学校、学童や習い事など、日常のあらゆる場面で実践できる言葉ばかりなので、気軽に取り入れながら、子どもと一緒に「考えるって楽しい！」という感覚を育んでみてくださいね。
声かけ１：「どうやってそう思ったの？」
子どもが何かしらの答えを出したときには、それが正解でも間違っていても関係なく、「どうやってそう考えたの？」とやさしく尋ねてみてください。
このような声かけは、子どもの考え方や思考の道筋に関心を寄せているという明確なサインになります。
「自分の考えに興味を持ってもらえた」と子どもが感じることで、その子は自分の発想に自信を持ち、さらに考えることそのものに喜びを見出すようになります。
それは、自分の意見や思いつきを伝えることが肯定されるという、非常に大切な経験となります。
さらに、大人にとっても、子どもならではのユニークで柔軟な発想にふれることができ、思わず感心したり驚かされたりする機会になるかもしれません。
こうした対話の積み重ねが、子どもの「考える力」を育む土台となっていくのです。
声かけ２：「いろんな考え方があるね」
一つの正解だけにとらわれるのではなく、さまざまな視点や意見を受け入れる姿勢を示す、とても大切な言葉です。
たとえば、友達と答えが食い違ったり、子どもが少し風変わりなアイデアを口にしたときに、「そういう見方もあるね」とやわらかく伝えることで、「考え方は人それぞれでいいんだ」という気づきを与えることができます。
このような経験を通して、子どもは「自分の考えも大切にしていいんだ」と実感し、自信を持って発想を広げていけるようになります。
また、異なる意見や考え方に触れることは、思考の幅を広げるきっかけにもなります。
「正解はひとつじゃない」という空気の中で育つと、子どもはのびのびと自由に考え、自分の世界を広げていくことができるのです。
声かけ３：「そのアイデア、おもしろいね！」
思わずクスッと笑ってしまうようなユニークな発想や、常識にとらわれない自由な考えが飛び出したときには、ぜひ迷わず前向きに反応してあげましょう。
「そんなこと思いついたの！？すごいね！」と驚いた表情で伝えるだけで、子どもの表情がパッと明るくなり、目がキラキラと輝く瞬間に出会えるはずです。
このようなポジティブな反応は、「自分の発想は受け入れてもらえる」という安心感を与え、さらに発想を広げる勇気につながります。
また、こうした発想を楽しむ経験を積み重ねることで、子どもの創造力はますます豊かになり、思考の柔軟性もぐんぐん育っていきます。
自由に考え、それを肯定的に受け止めてもらえることは、子どもにとってとても貴重な体験であり、「考えるって楽しい！」という感覚を育てる大きな土台となります。
声かけ４：「ちょっと考える時間とってみようか」
すぐに答えを求めない姿勢を見せることは、子どもにとって「じっくり考える時間」を確保する大きなきっかけになります。
「早く答えなきゃ」とプレッシャーを感じると、つい浅い理解のまま答えを出してしまったり、本当の考えとは違うことを言ってしまったりすることがあります。
そんなときに「少し時間をかけて考えてみようか」と声をかけられると、子どもは安心して自分のペースで思考を進めることができます。
このように、落ち着いて考えることができる時間は、ただの「待ち時間」ではなく、思考を深め、理解を深めるためのとても大切なプロセスです。
じっくりと考える経験を重ねることが、子どもにとって深い学びにつながるだけでなく、「自分で考えるって面白い」と思えるようになる一歩にもなります。
声かけ５：「前と比べてどうだった？」
結果だけに注目するのではなく、過去の自分との比較を促す声かけをしてみましょう。
たとえば「うまくできた？」ではなく、「今回は前と比べてどこが変わったかな？」「前はどう感じていた？」といった問いかけをすると、子ども自身が過去の経験と今を見比べることができます。
そうすることで、目に見える結果だけでなく、取り組み方や気持ちの変化など、自分の中の成長や変化に気づくようになります。
その実感は、自己肯定感を育てるだけでなく、「努力すれば自分は変われる」という前向きな感覚にもつながっていきます。
子どもが自分の歩みを振り返ることで、成功や失敗にかかわらず、自分自身の中にある価値を見出せるようになるのです。
まとめ
「考えることって楽しい」と自然に感じられるような声かけは、実は日々のちょっとした工夫や、ほんのわずかな気づきの積み重ねから生まれます。
とくに大切なのは、結果ばかりに目を向けるのではなく、どんな風に考えたのかというプロセスに注目し、子どもが感じたひらめきや気づきを丁寧に受け止めてあげることです。
今回ご紹介した５つの声かけを少し意識して取り入れるだけでも、子どもたちの思考力や発想力は目に見えて伸びていくはずです。
大人のかかわり次第で、「考えるって面白い！」という気持ちはどんどん育まれていきます。
ぜひ、家庭や学校など身近な日常の中で試してみてくださいね。
ちょっとした一言が、子どもの未来を大きく変えるきっかけになるかもしれません。
